ローファー好きとしては決して避けては通れない靴があります。
それはキングオブローファーと言われるウエストンのシグネチャーローファーです。
ローファー好きのみならずファッション好きの憧れとして1946年発売以来、王者の座に君臨している靴です。
J.M. WESTON
JMウエストンは1891年にエドワード・ブランシャール氏によって設立されたフランスの高級靴メーカー。初めはブランシャール社としてフランスのリモージュ地方の中心部で始まりました。リモージュ地方は、なめし革や革加工が伝統的に行われている地方として有名な地域です。
1927年にパリのクルーセル通りに一号店をオープン。ショップというよりも紳士クラブのようなこの店は、パリのファッショナブルな人々がくつろげる社交場だったようです。ただのショップではなく、文化として重要なポジショニングをしているあたりにセンスを感じます。
設立間もなくして事業に参加した息子のユージェーヌは、アメリカの近代的なグッドイヤーウェルト製法に目を向け、それがきっかけでJMウエストンは世界中で認められるブランドとしての地位を築いていき、時代を超越したフレンチスタイルの代表格といえるブランドへと成長していきます。ちなみにブランド名は息子が学んだ地、ボストン郊外のウェストンからきているのでアメリカ的なネーミングとなっています。
#180 シグネチャーローファー
1946年にブランドの代名詞であり、後にフレンチエレガンスのアイコンとなる「180 シグニチャーローファー」が誕生。それ以来、シグネチャーローファーは、アフリカのサプールやフランスの大統領まで世界中の様々な人から愛されつづけています。
ウエストンで有名なのは、シャンゼリゼ通りにある「Publicis Drugstore」に出入りしていた「Bande du Drugstore」(ドラッグストアのギャング)と言われていた若者たちに愛用されていたということ。彼らはミニクーパーに乗り、デニムに素足でローファーを履き、ドラッグストアにたむろしていました。当時彼らの中では既存の秩序やルールに対する反抗を表していて、やがてこのスタイルが時代を超えて愛されフレンチアイコンにまでなっていきました。
このローファーはおよそ2ヵ月間、約200の工程を経て作られます。また、靴底の革を作るだけで1年を要するという驚くほど手の込んだローファーです。これができるのは、自社でタンナーを抱えており、原材料から革靴の製造までを手掛けられるという環境だからこそできるこだわりなのです。そのタンナーというのが名門、デュプイ社である。
世界中をみてもタンナーを自社で抱える靴メーカーは「JM WESTON」と「RED WING」のみです。しかしRED WINGはアッパーのみ。靴底のなめし工場を有するのは世界中でJM WESTONただ一社になります。
そのためタンナーとしてのビジネスも順調で、他社へ革の販売も行っているのです。エルメスへボックスカーフを供給していることでも有名ですよね。
サイジング
つづいてサイズ感です。
お店では超タイトフィッティングを進められる、という話は有名ですが、最近ではそこまで攻めた話はきかなくなってきました。もともとローファーは紐がないのでジャストフィッティングが大前提ということ。そして、履いていくうちに馴染んでいく、という認識でどんどんサイジングを小さく攻めていったトレンドがあったのだと思います。
が、なんといってもウエストンはウィズが4mm刻みでAからFまで6段階あるので、好みの長さとウィズをじっくり選べば良いかと思います。といっても、基本ジャストで買うので最初は痛いですけどね。。痛みとしては、全体がギュッと圧縮されてるぐらいが理想だと思います。指や甲など局所的に厳しい痛みがある場合は歩行困難となり修行を諦めて手放す可能性が高いのでご注意ください。
また、シグネチャーローファーのフォルムが最も綺麗に見せれるのがCウィズである、という方もいますがそれはただの好みの問題です。無理してCウィズを狙うのはやめましょう。昔ほどではないですが、購入したては誰しもが通る修行期間。これもウエストンの醍醐味なので思う存分楽しんで革の靴下化を目指して頑張りましょう。
MY #180 SIGNATURE LOAFER
2020年6月。友人と共に念願のシグネチャーローファーを求めて青山店へ。
カラーとサイズ感を思う存分吟味し、最終的にブラックとタンブランで悩みましたが、ブラウンのボックスカーフの美しさにノックアウトされまして。。タンブラウンボックスカーフのレザーソールを購入しました。サイズは6Dです。
会計はシューツリー込みで約13万円。この金額感にはさすがにしびれました。。けどすごい達成感ですよ、これは。購入した直後からアドレナリンがバンバン出てました。元々高価なうえ最近また値上げされたみたいですが、その価値は必ずあると思っています。
で、実はこのローファー、購入してから自宅で修行を重ねたものの一度も下ろすことなく、手元を離れていきました。理由は、当時コロナ禍によるステイホームでほど外出することがなく、このスペシャルな靴を下ろすタイミングを見失ったこと。それと、サイズをできれば6.5Cにしてラバーソールで買い直したいと思ったことがきっかけで、思い切って手放す決断をしました。所有していた半年は美術品を眺めるような感覚で、毎日必ず鑑賞をしては微笑んでいました。履かずしてここまで人を満足させてくれる革靴は世界中みても数少ないですよね。とにかくいろいろな欲を満たしてくれる素晴らしいローファーです。
別れを告げたタンブランのシグネチャーローファーぜひご覧ください。
まとめ
こうして紹介をすると改めてこのローファーの美しさにため息がでますね。いろいろ革靴を所有してますが、ウエストンの革質はキメが細かく、もちもちとした輝きが他のブランドと比べても別格の質感です。これは断言せざるを得ません。現存するブランドの中では間違いなく最高品質な革です。なので、馴染んだあとの心地よさ、経年変化の具合も最高品質ということです。生涯で一足は持ちたい一足です。私は手放してしまいましたが、必ずまた手に入れてやる!と心に誓っています。気分的にまた日本で買うのはなんだか癪なので、海外にいける日が戻ったら本場パリで必ずゲットしてやろうと思ってます。その日まで過去の写真を見ながら妄想を楽しみますw
狙ってるジェイエムウエストン
#641 THE GOLF DERBY
#385 TRIPLE SOLE LOAFER
#705 CHELSEA BOOTS
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